役に立つデッキの作り方
FSRS の効果は、与えるカードの質で決まります。カードの書き方、デッキの分け方、そして AI 生成を下書きとして使うコツをまとめた実践ガイドです。
FSRS は、カードをいつもう一度見せるべきかを決めるのが得意です。ただ、カードそのものの出来については何も判断してくれません。そこはあなた自身の仕事です。質の低いカードばかりのデッキは、スケジューラがどれだけ優秀でも、復習の時間を無駄にしてしまいます。ここでは、本当に身につくデッキと、ただクリックして流すだけのデッキを分けるポイントを紹介します。
1 枚のカードでは 1 つのことだけを問う
デッキがうまくいかなくなる最も多い原因は、1 枚のカードに詰め込みすぎることです。表面に「フランス革命の原因を説明せよ」と書いてあっても、それはフラッシュカードではなく論述問題です。見るたびに、具体的な何かを思い出せたかどうかではなく、なんとなくの感覚で自己評価することになってしまいます。
分割しましょう。1 つの事実につき 1 枚、1 つの定義につき 1 枚、1 つの手順につき 1 枚です。「1 枚」のカードなのに「5 つの原因のうち 3 つは思い出せた」と部分点をつけたくなるなら、それは実際には 5 枚分の内容を 1 枚に詰め込んでいるようなものです。小さなカードは、きちんとした裏面も書きやすくなります。これは思っている以上に大切なことです(詳しくは次の項目で)。
裏面は要約ではなく「答え」として書く
よい裏面は、正解だったかどうかをすぐに、はっきりと判断できます。悪い裏面は、内容は正しくても曖昧すぎて、自分で採点できません。
- 表面「FSRS は何の略?」 裏面「Free Spaced Repetition Scheduler。」 知っていたか、知らなかったか、どちらかです。
- 表面「1789 年に何が起きた?」 裏面: 何行にもわたる文章。「だいたい分かっていた」と自分を納得させる余地がいくらでもあります。
記述式や文章並べ替えのクイズモードを使う場合は、さらに重要になります。これらのモードでは、入力または並べ替えた内容を裏面と一語一句比べて採点します(句読点と大文字・小文字の違いは除きます)。短くすっきりした答えの裏面なら、記憶だけを頼りに入力できます。段落になった裏面では、それは難しいでしょう。
両面を意識して使い分ける
表面と裏面のどちらも、太字、リスト、見出し、コードといったリッチテキストに対応しています。画像、音声、動画も別の添付ファイルではなく、本文中にそのまま埋め込めます。単なる飾りではなく、実際に役立つ使い方をいくつか挙げます。
- 表面にネイティブスピーカーの音声クリップ、裏面に訳を置いた単語カード。読むだけでなく、聞き取りの力も鍛えられます。
- 解剖学や回路のカードで、表面に図を埋め込む。文章での説明では、どうしても分かりにくくなる場面です。
- 数式を
$$…$$(ブロック)や\(…\)(インライン)の LaTeX で書く。数式の記法がそのまま表示されるのではなく、きれいに組版されます。
さらに、任意で使える 3 つ目の欄としてノートがあります。ノートは学習の対象にならず、スケジュールにも影響しません。自分のためのメモ欄で、語呂合わせ、出典へのリンク、そのカードを追加した理由などを書いておけます。デッキを公開したり、誰かがフォークしたりしても、ノートはあなただけのものとして非公開のままです。
何を試したいかでデッキを分ける
デッキはフォルダではなく、復習の対象をまとめたプールです。デッキ内のカードは、学習、クイズ、ブラウズのすべてで混ぜて出題されます。そのため、無関係な 2 つの科目を 1 つのデッキに入れると、一方の復習がもう一方への集中を何度も邪魔することになります。「今は言語デッキ全体ではなく、動詞の活用だけ復習したい」と感じたら、1 つのデッキの中で絞り込もうとするより、別のデッキに分けるタイミングです。
逆の失敗もあります。1 つのテーマを(たとえば 5 枚ずつの)小さなデッキに細かく分けすぎると、学習したい内容があちこちに分散し、管理しにくくなります。FSRS は 1 枚ずつスケジュールを組むので、小さなデッキでも問題なく動作します。ただ、管理の手間が増えるだけです。明確なルールはありませんが、「探す」で検索しそうな、ひとまとまりのテーマとして自然に収まるなら、おそらくちょうどよい大きさです。
AI 生成は最終稿ではなく、下書きに使う
カードを 1 枚ずつ手で入力するのが負担なら、AI 生成を使うと、白紙のエディタではなく、出発点となる下書きから始められます。PDF、画像(ノートの写真でも問題ありません)、DOCX や PPTX、短いトピックの説明、録音した講義を取り込み、カードの候補にしてくれます。候補はデッキに保存される前に、必ずあなたが確認します。
出力はあくまで下書きとして扱うことをおすすめします。AI には、どの 5 つの事実を重点的に覚えるべきか、どれがすでに完璧に身についているかは分かりません。それが分かるのはあなただけです。確認画面は、本当に復習する価値のあるものに絞り込み、長すぎて自己採点しにくい裏面を簡潔に直し、実は同じ内容を 2 度問うているカードをまとめるためにあります。
まとめ
1 枚のカードが 1 つのことだけを試すところまで分割しましょう。ひと目で自己採点できる裏面を書きましょう。リッチテキストや埋め込みは、飾りではなく、記憶に本当に役立つ場面で使いましょう。カードは、一緒にしまいたいものではなく、一緒に復習したいものでグループ分けしましょう。そして AI 生成で書き始めたとしても、仕上げは自分で行いましょう。候補を編集する数分間が、平凡なデッキをよいデッキに変えてくれます。